組織化の社会心理学   


組織化の社会心理学 カール・ワイク著 文真堂 遠藤雄志訳 1996年

本書は、読者がいろいろな理論化を試みたくなるように、また自由な連想をしたくなるように、そして等閑(なおざり)にされていた思考の技法にも目を向けるように書かれていた。(p304)と著者は述べるように、「自由な発想」を頻繁に目にする。メタファー(比喩)としての表現が多い。企業以外の事例を最も多く提示し、思考の技法を学ぶことができた。さらに、企業とは!、組織とは!、成功するためには!等のHow To本に見られる論理の飛躍的な発展とは異なり、その対象物の関係、プロセスを明確にすることで、読者も多くの経験や考えにも応用が可能になる。学術書として、久々にめぐり合えた「いい本」であった。(ちょっと長く、くどいので気力が必要であるが・・・)

組織化とは意識的な相互連結行動(interlocked behaviors)によって多義性(equivocality)を削除するのに妥当と皆が思う文法と定義される。(p4)
組織を悩ますものの多くは、組織自らが創り上げたしたものなのだ。(p8)
組織化の3つの過程(p59)
 1.イナクトメント:経験の特定の部分をさらに注意するために囲い込むこと 
 2.淘汰:その囲いもまれた部分にいくつかの解釈をあてがうこと 
 3.保持:解釈された断片を将来適用するために蓄えること

「組織を悩ますものの多くは、組織自らが創り上げたものなのだ」、90ヘェ~♪♪
組織化の3つの過程を見ると、それは理解できる。イナトメント→淘汰→保持という過程を経て、組織化される、つまりいろいろな出来事などの多義性を削除していくためである。組織化は、このプロセスを通って創造されていくが、どの方向に創造されるかは、組織次第である。組織内で構築された「暗黙のルールブック」を保持しながら、行動していくので、壁に当たったときにその暗黙のルールブックに検索をかけてみるのであろう。
誰が作ったかわからないルールブックを変更することは困難極まりない。
だって、だれの了承を得るの?
自ら制約条件を創造しているために、多義性を削除している。それによって削除されたことが発生すると、実は問題が発生するのだ。
当たり前だけど、驚きだ。何だ、自分たちのせいか・・・、ならルールを変えよう。と思えるかどうかは、この言葉が理解できなければいけない。

組織はこれまで論じたところによると文字通りほとんどナンセンスな活動である戦略形成とやらに相も変わらず時間を費やしている。組織が戦略を定式化するのは、それを実施した後であって前ではない。人は、何か-何でもよい-をやってみてはじめて、それを振り返えることができ、自分がやったことを戦略と結論するのである。組織においてはこの順序が一般にどう(誤って)見られているかといえば、最初に戦略が次に実施というものである。(p243)
「戦略を定式化するのは実施した後であって前ではない」、100へぇー♪♪
3つの過程があって組織化するため、未来形の戦略は、絵に描いた餅に過ぎないのである。戦略を練るのは、過去の保持された情報から創り上げる。そのinputは、イナトメント→淘汰→保持の過程を通り、新たな規範が生まれる。この規範は予想できるものではないことを理解しておかなければならない。面子や予算や目標を厳守し、行動することは発展しないと言われるのは、そのためである。

どこに向かっているのか知らなくてとも大丈夫だ、どこかに向かっている限りは。歩いてさえいれば、そこがどこだかは遅かれ早かれわかるものだ。(p318)
よい戦略がなくとも、突き進みながら調整していけば、よい結果が導く可能性ももつ。動きながら、考えてもうまくいく事例がある。
ある村で村長が今日の狩りをする場所の方向性を決める方法は、動物の骨を焼き、そのひびの方向である。
右にひび割れたから右へと言う風に、判断し、それが適切に動いていると言う。
毎日、獲物が見込まれる方向にいけば、動物も警戒するし、数も少なくなる。ランダムに動くことで、実は大きなメリットが生じていることに気づいていないことも多い。

焼けたカリブーの骨のヒビを“読む”といったランダム化手法の利用にはいくつもの利点がある:(p336-7)
1. もし失敗しても、あなたに累があまり及ばない。
2. 事実に十分に無いときでも、決定が下される。
3. 代替案の間にさしたる違いが無いときでも、決定が下される。
4. ネックが克服されるかもしれない。
5. 競争者が混乱する。
6. 代替案の数が無限になる。
7. 手順が愉快だ。
8. 決定が速やかに下される。
9. 特別な技能が要らない。
10. 金がかからない。
11. その過程にケチのつけようがない。
12. ファイルや保管場所が要らない。
13. 分け隔てのしようがなく、その代替案も等しくウェート付けされる。
14. 解にいたるに論争というものがない。
15. 真の新奇性を呼び込むことができる。
16. 読み方を変えることによって、ツキを変えられる。


まずは、考えて行動し、それを微調整していけばいい。
なんだか、楽観的であるが、そういうものかもしれない。
[PR]

by namanama100 | 2004-10-03 02:35 | こんな本が好き

<< 組織化の社会心理学(その2) ケニア旅行の10ヶ条(その10... >>